あなたの業務内容
大きく分けると以下の3つに分かれます
- 超音波チップの「製造」
- 電話応対や発送、メール対応などの「販売」に関する事務仕事
- 歯科学会での展示会やセミナー主催時の「運営」
です。
製造に関しては後ほど流れなどをご紹介しますが、まずは、事務仕事と展示会の仕事からご説明します。
電話応対や発送、メール対応などの「販売」に関する事務仕事
錦部製作所は歯科医療機器メーカーで、製造から販売までおこなっています。
お客様は「全国の歯科医院」と、日本で唯一錦部製の超音波チップを仕入れ販売している「白水貿易(はくすいぼうえき)株式会社」です。
錦部製作所は錦部製チップを純正品として搭載する契約を白水貿易さんと結んだことで、超音波チップの製造を始めてから2008年まで、白水貿易さんが販売する機械にしか装着することはできませんでした。
つまり全国の歯科医院は白水貿易さんが販売する超音波スケーラー(弊社の作ったチップを付ける機械)であるP-Maxという機種を買うことでしか錦部製作所の超音波チップを使う方法はなかったのです。
それでもP-MAXは錦部製作所のチップを搭載するために作られていますので性能はとても良く、シェアはトップレベルでしたから、全国でも多くの歯科医院がP-MAX=錦部製作所のチップを使っていました。
このような背景から錦部製作所にとって、2008年までは白水貿易さんだけが直接のお客様であり、歯科医院が直接、錦部製作所から製品を買うことはできなく、販売網は白水貿易さん経由のみでした。
しかし、他のメーカーの機械に装着できる超音波チップを販売してほしいという歯科医院からの直接要望は以前からも受けており、他社の機械にも装着できる超音波チップを開発し2008年からホームページ上で直接販売することになりました。その後も、歯科医院から要望を頂いては他の会社の機械に装着できる超音波チップを開発しては製品一覧に加えていったことで、このように製品ラインナップが増え、北海道から沖縄まで全国の歯科医院に直接、チップを発送するようになり、現在に至ります。
ここまでが経緯で、上記が理由で、卸会社である白水貿易さん経由と、直接発送している歯科医院さんというお客様が混在しています。
事務仕事のメインは、この全国の歯科医院さんとのやりとりや発送作業です。
お子さんがいるために短時間勤務をしている先輩の職人一般職スタッフがこの仕事をやっていますが、補助的な形で手伝ってもらいますので、あなたが入社することで事務部門は二人体制となります。
仕事などはその先輩スタッフが教えてくれますので、ご安心ください。
歯科学会での展示会やセミナー主催時の「運営」
先ほど書いたのように、2008年から全国の歯科医院向けに直接販売を始めました。白水貿易さん以外の卸業者とは基本契約していないので、錦部製作所独自で営業をする必要がでてきました。
ただし、全員が職人であり営業としてのスタッフはいません。歯科医院を訪問するような人員余裕もありませんので、営業と呼べるものは、ホームページや雑誌広告以外だと、年に数回の歯科学会(例:インプラント学会、歯周病学会)で製品を展示しているくらいです。我々がそういった学会に参加してブースに来た先生や衛生士さんに商品の説明をしています。
また歯科医の先生たちの勉強会に私を講師として呼んでいただいたり、頻度は少ないですが、自社主催のセミナーも年に1~2回開催し、歯科医の先生方や歯科衛生士さんたちが参加されています。
ただ基本となる営業は、ホームページと使用している歯科医院の繋がりでの口コミのみです。上記のような学会での展示やセミナーの頻度は多くありません。しかし開催する際は、あなたも運営スタッフとして参加することになりますので、そういう仕事もあるとご認識ください。
実際にやることですが、営業と言うよりは、ブースに来た方へ商品説明などの「対応」です。これは職人総合職のスタッフや私も参加していますので、それに一緒に着いてきてそこで学んでください。
ノルマがあるわけでもなく、特に売り込む必要もありません。
弊社の製品は触ったり、見比べれば、他社製との違いは技術のある先生や衛生士さんならすぐに分かります。
あなたが製造に関わった製品を使う新たな歯科医院を発掘されてください。作ったものを売る。そのどちらにも関われる。これは小規模なメーカーの醍醐味ですね。
先に言います。飲みの席もあります。
展示会の後などに懇意にしている歯科医院さんたちと食事をしたり、会社見学に来られた歯科医や衛生士さんたちと食事をすることもあります。私は基本参加ですが、総合職の男性職人も何人か連れて行ったりしています。
このように歯科医の先生や歯科衛生士さん、歯科助手さんとのやりとりや直接会って話すこともありますので、「モノづくりだけがしたい」「人と会う営業のようなことはしたくない」という場合は、錦部製作所は就職先の候補から外してください。
実際に社内に来ると分かりますが、明るく話好きな人が多いので、普段からコミュニケーション力も必要ですし、話す機会は多いです。社内でもそうですし、このように社外とのやりとりも多い職場です。
超音波チップの製造(総合職の補助)
上記2つの仕事と比較してこちらは理解しやすいかと思います。メインとなる業務です。先ほどの2つの仕事の割合は少なく、仕事の95%はこの製造です。
※超音波チップ製造の流れを簡単に説明しますとこのような流れです。
- 材料(直径数mm、長さ2.5mの金属棒)をNC旋盤という機械を使いプログラミングされた長さ・形に切る
- 金属の切り屑がでるので掃除する
- 接合部分の面を研磨する
- 金属の切り屑がでるので掃除する
- チップの形を作る
- 刃物タイプは刃を付けられる
- 熱処理をする
- 艶を出す
- 洗浄する
- 製造日などをマーキングする
- 梱包してお客様に発送する
動画で製作の流れや製作工程の一部をお見せします。
※動画をご覧になるときは、
をクリックしますと再生できますが、
音が出ますのでご注意ください。
錦部製作所 3代目(私)が、
超音波チップ製作の流れを動画にてご説明いたします。[再生時間:56秒]
長さ約2.5mの金属棒から始まり最終的には、長さ数cmの製品になるのですが、その工程はとても多いです。主に職人一般職がおこなう工程に関して、もう少し説明いたします。
材料から仕入れる
材料となる金属棒を仕入れますので、その検品からスタートします。仕入先は信頼していますが、金属の純度が変われば完成品にも影響が出るので、検品をします。当然ながら数量などもチェックします。
機械(NC旋盤)を使って材料の金属棒を裁断する
1本の材料から作れる本数は限られます。また製品によって切断する長さも違いますので、それらをプログラミングして機械を使って切断します。機械のプログラミングやNC旋盤の操作は総合職がおこないます。
切り粉(きりこ)掃除
ここから職人一般職の仕事が始まります。機械で金属を切ったり磨いたりすると、金属の細かい屑が製品につきます。切り粉と言って、この切った時の金属の粉を洗い流す必要があります。
何で洗うかと言えば「水」ではありません。水で洗ってもとれませんし錆びるので「石油」を使って洗います。ここは手作業です。説明動画もご覧ください。
隠すつもりはないのでお伝えしますが、手袋をしていても染み込んでくるために、油が手につきます。終わった後に専用の石鹸で洗って落としますが、油に触るのが嫌だという場合は、錦部製作所を含め、機械系メーカーでの製造現場での仕事は難しいかと思います。
切り粉掃除は300本程を一度に作業します。慣れてくると1時間ほどでできますが、最初のうちは次の工程であるエアーも含めて2時間くらいかかるかもしれません。
この切り粉掃除は、削るたびに必要な工程になるので、製品を作る工程の中で何度もおこないます。なお、1日で102工程全部が終わるわけではないので、1日に何度も何度もこの切り粉掃除の工程があるわけではありません。ご安心ください。
エアー(空気)洗浄
この工程は切り粉掃除とセットの工程です。油で洗っただけでは削った切りカスが取り切れないために、取りきれなかった削りカスを専用の機械を使って掃除します。
簡単に言えば、掃除機のように最終的にその機械が吸い込むのですが、実際は一度、空気を出して削りカスを浮かせて吸い取っています。
動画ではこのような感じです。
簡単にやっているように見えますが、直径数mmの穴の真ん中にちゃんと風を当てないと上手く吸えません。
切り粉の工程と合わせて2時間で300本するとすれば、120分で300本。つまり、1本あたり洗いとエアーを含めて20秒でしなければいけません。
慣れてくると、4~5本まとめて片手にもってできるようになりますが、手が小さい女性だと2本くらいになるかもしれません。
エアーの最中、切り粉を吸わないように防塵マスクもありますので、健康被害などはありません。私も20年以上やっています。ご安心ください。
研磨

エアーまで終わると次の工程がこの研磨です。チップの端(ネジ穴接合部分)を研磨します。具体的に0.XXXmmという数字は企業秘密で言えませんが、紙1枚より薄い厚さを研磨します。
ここは技術が必要で、すぐにはできないかもしれませんが一般職の工程です。
※企業秘密のため動画は公開できませんが写真のような機械を使います。
再度、エアー
研磨が終わると、削ったためにまた切り粉がでます。それを取り除きます。
ある特殊な道具にセットする
男性職人が次の工程に入るために、専用の道具にセットします
男性職人の工程が終わったら道具から外す
※この辺から画像も動画も公開できません。ご了承ください
機械を使ってある工程をおこないます

書いていて、企業秘密の観点からこれを何も言えないのが申し訳ないです。こちらは、職人一般職の仕事です。
現在はベテランスタッフが主に担当していますが、将来的にはしていただくことになります。使う機械はこちらです。
※大きな機械ですが作業する部分は企業秘密のために白で隠しています。
またエアブロー
機械で削っているためエアーブロー
男性職人の成形(形を作る)補佐
髪の毛より細い糸を使って準備をし、隣の椅子の男性職人に渡します。男性職人2名、一般職1名の3名体制で、椅子を円の形にして座って作業をします。
細かい作業なので手先の器用さが必要です
その後、次の工程のため、特殊な道具にセットします
その他、工程はずっと続きます
全部書いてもいいのですが、此処から先は企業秘密も多く、詳しくは書けませんし、写真でもお見せできないのでイメージしづらいと思います。
詳細を理解していただきたいのではなく、このように握力や熟練の技術が必要な男性職人総合職がおこなう工程と、2年ほどである程度の技術までは到達できる職人一般職がおこなう工程が密接に絡み合っていることをご理解ください。
その後、色々工程を経て、「検品」
製品として基準に達しているかのチェックをおこないます
マーキングをする
このようなレーザーマーカーという機械を使って1本1本に製造番号を入れます

商品によっては柄の部分に色を塗ります
ここは特に男性職人より細かい作業が得意な女性職人の方が得意な分野です
梱包する
製品をそのまま提供するわけにはいきませんからね。ここから先は発送などの事務工程に入っていきます。
仕事をまとめますと「男性職人とペアを組んで作っていく」と考えていただくと仕事内容は分かりやすいと思います。
前工程とは呼んでいますが、男性職人が後工程をおこなったら、また戻ってきて次の男性職人の工程までにやるべきことをやっておくという感じです。
途中でも説明しましたが、1日に全行程をすることは不可能で、1日に全部終わりません。多くても1日に3~4工程で、工程内容によっては1日同じ1つの工程をずっとすることもあります。例えば、機械のセットに時間がかかる工程で、1回セットしたら一気に作る必要があるため1日同じ工程ということもあります。
職人の仕事は、「黙々と一つの工程をできる人」に適性がありますが、人間的に暗いと今度は社内に向きません。スタッフは普段は明るく話しています。
職人の仕事で大変なところは、「スピードと質を求められた上で、2時間同じ工程をしたりできる心」です。技術的なものは後から覚えれば良いのですが、飽きっぽい人は精神面で職人には向いていないかもしれません。
ただこれは、職人に限らず、モノづくりをする会社で飽きっぽい人は向いていませんので、その場合は違う業界を就職先とした方が良いかもしれません。